三重県津市にある学僧 普門上人を輩出した真宗高田派のお寺です。ご家族お揃いでお参りください。

彰見寺

2021年 秋

法語

人も草木も虫も同じものは一(ひと)つもない おなじでなくてみな光る

作者

榎本栄一

あじわい

 仏説阿弥陀経の中に、『青色青光・黄色黄光・赤色赤光・白色白光』という一節があります。お浄土の池の蓮の花は、それぞれの花がそれぞれの光を発しているという一如平等の仏さまの世界が美しく表現されています。
 阿弥陀仏は、それぞれのいのちの存在をそれぞれのままに、「仏となるいのち」とみてくださるのです。そこには深くて広いお浄土の慈しみの心があふれています。
 金子みすゞは、大正末期から昭和初期にかけてすぐれた詩作を発表し、昭和五年に二十六歳の若さで世を去りました。彼女の人生は決して平坦なものではありませんでしたが、そのような中から、優しさあふれる詩がほとばしり出ていることに驚かされます。
 『わたしと小鳥とすゞと』(一部抜粋)
  すゞと、小鳥と、それからわたし、
  みんなちがって、みんないい。
という一節があります。どれだけ多くの人がこの言葉に出会い救われ、自分を取り戻し、安らかな心満ち足りた毎日を頂いたことでしょう。この世は、平和や平等という言葉とはほど遠い様子を呈しています。多くの人々が、この金子みすゞの言葉と出会って、ふっと肩の力を抜いて自分本来を取り戻し、みずみずしいいのちそのものに生きる道を頂いたのではないでしょうか。
 これらの短い言葉の中にこめられたやさしさあふれるメッセージに、互いを認め合い、ひとりひとりが光り輝く安らかな日々のおとずれを願うばかりです。